企画展「海の意味」

ステートメント

海に意味はあるのでしょうか。

海はただそこに広がっています。意味を与えるのは、いつだって人間です。人は海に恐れを抱きながらも、祈りを捧げ、恵みを分かち合い、その圧倒的な存在に対して言葉や物語を紡いできました。海の意味とは、海そのものに備わっているのではなく、人と海とが交わす眼差しや身体のあいだに、絶えず生まれ続けてきたものなのかもしれません。

世界の各地には、海の神々に祈りを捧げる祭りがあります。風や潮の満ち引きを身体で覚え、海とともに暮らしを紡ぐ島々があります。海へ向けて構造体を立ち上げる建築家、言葉にならない波のざわめきや人々の記憶がこめられた映画やアート。私たちは言葉を与え、表現を通すことで、海との結びつきを確かめてきました。

海は一つではありません。人の数だけ、文化の数だけ、そこに刻まれた時間の数だけ、異なる海が広がっているのだと思います。

本展では、建築、デザイン、アート、映画、信仰、暮らし、言葉といった多角的な視点から、人と海とのあいだに紡がれてきた関係性を見つめ直します。それぞれの営みの奥にある「海の意味」をみつめる時、私たちが海とともに築いてきた深遠な文化や精神の輪郭が浮かび上がってきます。

海を見つめることは、人間そのものの姿を見つめ返すことかもしれません。あなたにとって、海とはどのような存在でしょうか。

この展示が、あなた自身の「海」と出会い直すはじまりとなれば幸いです。

MOON
ファウンダー 田口康大

ー 展示内容 ー

海と建築

本展では、人と海との関係を映し出してきた「建築」を手がかりに、海の意味を見つめ直します。海から人を護り、海を眺め、海の営みを育んできた建築には、人が海と向き合ってきた歴史が刻まれています。建築家へのインタビュー、日本全国30の海建築を巡る地図、文筆家・甲斐みのりによる書き下ろしエッセイを通して、海と建築が織りなす豊かな物語をたどります。海を見つめることは、人間そのものを見つめることなのかもしれません。


インタビュー「海の意味を聞く」

海に関わる作品制作や研究を行うアーティスト、デザイナー、写真家らに「海の意味」について聞く。

ホヤぼーや(海の子)
RAW COLOR(デザインデュオ)
Mohammed Hesham Salem(写真家)

<近日公開>
小坂薫平(スピアフィッシャー)
Pekka Niittyvirta & Timo Aho(アーティスト)
小西智子(航海士)

沖縄・伊平屋島のイノー

写真家・津田直の視点を通して、沖縄・伊平屋島のイノーという「境界」の風景と営みを見つめる。自然をどのように認識し、言葉を与え、関係を築いてきたのかをたどり、海を見る私たち自身の世界観を問い直す展示。

サルバドールの祭りーイエマンジャと花籠(近日公開)

本展示は、海の女神「イエマンジャ」への信仰の中で生まれた祭りと、現地の人々の実際の祈りの姿に迫った、キュレーター・永井佳子によるブラジル滞在の記録です。なぜ、人は海に想いを託し、祈るのか。人と海との関わり、その意味を見つめます。

映画の海で歩く
『blue』

映像作家・福原悠介が企画展のテーマに呼応した作品を選定し、 その撮影地を訪れ、 イメージとリアル、 過去と現在が重なる場所から、 海についての思考と体験を言葉にする旅と映画の連載エッセイ。
第2回は魚喃キリコ原作、安藤尋監督作の『blue』(2003年)の撮影地、新潟県新潟市西区四ツ郷屋を訪れる。