「海の未来」プログラム

ステートメント

「未来」について考えるとき、私たちは「まだ来ていない時間」や「この先に待っている世界」を思い浮かべます。しかし、未来は本当に前方だけにあるものなのでしょうか。いま私たちの目の前にある海の風景も、かつて誰かが思い描き、選び取ってきた結果として存在しています。そう考えると、未来とは遠くにあるものではなく、現在の延長として、すでにはじまっている時間だと言えます。

それでも私たちは、未来を実感することは簡単ではありません。海の未来はなおさらです。海は広く、変化はゆっくりで、日常生活からも少し離れています。問題や変化があっても、どこか自分とは関係のない出来事のように感じてしまうことがあります。海はいつも、いつまでも、そこにあるものとして、深く考えられないまま、背景のように扱われてきました。

けれど、海は決して不変なものではありません。漁業や港、都市開発、観光や物流など、人の営みは海の姿を少しずつ変えてきました。そして海の変化は、食、仕事、環境、文化といった私たちの暮らしそのものに影響を与えています。きれいな海、危険な海、資源としての海、遊び場としての海。海は常に複数の意味を抱えています。

企画展「海の未来」は、一つの答えや理想像を示すものではありません。沿岸の都市をどうつくるのかという視点、人々の声、子どもたちの想像、映画が描く時間。それぞれは異なる未来の入り口につながっていて、同時に、いま私たちがどこに立っているのかを問い返します。未来は決められた道ではなく、選び続けることで形を変えていくものだからです。

未来を考えることは、遠い世界を想像することではありません。いま何を大切にし、何を見過ごしてきたのかを振り返り、これから何を選び取るのかを考えることです。海の未来もまた、誰かが決める完成形ではなく、私たちの関わり方によって、変わっていくものです。

この展示が、海の未来というキーワードを通して自分自身をみつめ、未来のための一歩を見つける場となることを願っています。

MOON
ファウンダー 田口康大

展示内容

UMI2050

「UMI2050」は、日本の沿岸地域の2050年を展望しようとする試み。ドットアーキテクツ、小野寺匠吾建築事務所が主宰するオソリサーチの2組が2050年の未来の都市と海の関係を描きだす。

UMI2050コンセプト
王越2050 / ドットアーキテクツ
東京2050 / オソリサーチ

インタビュー「海の未来を聞く」

海に根差した作品制作や研究を行うアーティスト、映画監督、音楽家らに「海の未来」について聞く。

Eli Horn イーライ・ホーン(アーティスト)
佐藤そのみ(映画監督)
小久保隆(環境音楽家、サウンド・デザイナー)
Subodh Kerkar スボード・ケルカル(海洋アーティスト)
田島木綿子(海獣学者)
北川フラム(アートディレクター)

映画の海で歩く

映像作家・福原悠介が企画展のテーマに呼応した作品を選定し、 その撮影地を訪れ、 イメージとリアル、 過去と現在が重なる場所から、 海についての思考と体験を言葉にする旅と映画の連載エッセイ。

海と生きるー気仙沼の未来

宮城県気仙沼市で13年に渡り行われてきた海洋教育。その実践や体験、意義について、高校生や教育関係者の語りを交えてレポート。