
「うみは広いな、大きいな……」海と人の長い関わりの中で育まれた、恵みを得るための技や知恵(=民具)と、海に対して人々が抱いてきた大漁への願い(=玩具)を武蔵野美術大学 美術館・図書館 民俗資料室が所蔵する約9万点に及ぶ民俗資料コレクションから発掘。民具と玩具、それぞれの展示室を用意し、同大学教授の加藤幸治さんの解説で、いにしえから今へと続く人と海とのつながりの深さに触れる連載です。
海を生業(なりわい)とした人々の民具、人々の海への祈りの表現であった玩具を、以下のようなテーマでそれぞれピックアップします。更新は月1回ほどの予定です。
民具の展示室ー海と人の生業
人は海のめぐみを獲るために、自然をふかく観察し、目に見えない水面下の生きものを理解しようとてきました。個人や家族で営む「おかず取り」のような小さな生業(なりわい)も、大船団を組んで大海原へ挑む漁業も、その根本には海の生きものの営みに対する想像力と、工夫の繰り返しによる知恵と経験のなかに学んできた蓄積があります。
玩具の展示室:海と人のこころ
海という大いなる自然は、古来より信仰や祈りと深く結びついてきました。海に対する心性は、祭りの民具や郷土玩具に表れています。目に見えない海の本質は、エビス神のようにデフォルメされたり擬人化されたりしながら親しまれてきました。海はそれ自体がひとつの巨大な存在として、人の感情に直接語りかけてくるようです。
展示一覧
企画監修・文
加藤幸治(かとう こうじ)
武蔵野美術大学教授、専門は民俗学(民具研究)。博士(文学)。和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員、東北学院大学教授(同大学博物館学芸員兼任)を経て、2019年から現職。主な著書に『民俗学 フォークロア編:過去と向き合い表現する』(武蔵野美術出版局/2022年)、『民俗学 パブリック編:みずから学び、実践する』(武蔵野美術出版局/2025年)などがある。

海のMING GANG キービジュアルイラスト:Ryotaro Hirosaki


