横須賀美術館

山側の公園より同じレベルでアクセスできる屋上。デッキからは浦賀水道を楽しめる。歴史ある土地に溶け込むように、ガラスの箱のような建築とランドスケープが計画された。写真提供:横須賀美術館
海側の歩道から美術館を見る。建物は低く抑え、美術館の機能の多くを地下に配置した。ゆるやかな傾斜の先にエントランスへ続くアプローチ。アプローチに面してレストランやショップ、ワークショップを配置している。写真提供:横須賀美術館
下階の展示室をのぞき見ることができる吹き抜けにかかるブリッジ。丸く切り抜かれたゲートの向こうに海が見える。館内の至るところで、窓が切り抜く美しい海を楽しめる。写真提供:横須賀美術館 撮影=山本 糾

浦賀水道を見つめる、透明で回遊性の高い建築

神奈川県横須賀市、三浦半島の観音崎公園を位置し、多くの船が行き交う東京湾の浦賀水道を望む形で建てられた美術館。「環境全体が美術館」をテーマに、建築家の山本理顕は建物の多くを地下に埋め込むことで地上部の高さを抑え、周囲環境と調和する建築を提示した。外側は塩害に強いガラス、内側は白い鉄板というダブルスキン構造。不規則な丸窓で館内各所から風景を切り取り、ふいに外部の海や船を絵画のように楽しめる驚きももたらす。大中小の3つからなる企画展示室の一部が共用部と連続し、作品鑑賞への期待も高める回遊性の高いプランも特徴。水平線に向かう屋上テラスは背後の公園と同レベルで接続する。建築の透明性の高さから昼は外光を取り込み、夜は人工光を放つ。昼夜ともに魅力的な場で広大な海と向き合うことができる。

横須賀美術館 ※2026年9月5日リニューアルオープン予定
・設計:山本理顕(山本理顕設計工場
・所在地:神奈川県横須賀市鴨居4-1
・用途:美術館
・竣工年:2006年

Text:Yoshinao Yamada


建築の巨人たちに聞く ー 山本理顕 

“美術館は他の誰でもない市民のもの。だから日常の動線として機能させた”