Muuru

奄美群島国立公園内に完成した観光とアクティビティの拠点となる「Muuru(ムール)」。屋上テラスに上がると水平線を一望でき、海と空と一体になる感覚が楽しめる。©️Takumi Ota
わずかに傾斜した壁。大地にしっかりと根ざす建築は重厚感を感じさせながら、海風に誘われるような軽やかな表情を併せ持つ。©️Takumi Ota
施設内に作られたオフィス&ショップ空間。所々に設けられた開口やスリットから光や海風を感じることができる。©️Takumi Ota

人々の拠り所を目指し、自然と向き合うシェルター

鹿児島県南端の美しい海に囲まれた与論島。この島で、カフェ、ギャラリー、オフィスを備えながら、デザイン、アート、そしてコミュニティのハブとして機能する複合施設。建築とインテリア、プロダクトを手がけたのは、イタリア・ミラノを拠点に活動するデザイナーの大城健作。沖縄に拠点を構える建築家の五十嵐敏恭が設計で参加している。地中に組み込むことで大地と一体化したミニマルで荒々しいコンクリートの建物は、島の強い光と影、台風などといった厳しい自然環境に対して「シェルター」としての役割を担う。四方を囲む壁はわずかに傾斜するが、これは光の入射角や風の受け方を調整すると同時に建築を自然へと開放する機能を持つ。窓や開口部は与論島の風景を絵画的に切り取るように考えられた。またこの建築のためにデザインされたラウンジチェアは、硬質な空間に南国的とも言える温かみと柔らかさをもたらす。

Muuru(ムール)
・設計:大城健作、五十嵐敏恭(STUDIO COCHI ARCHITECTS
・所在地:鹿児島県大島郡与論町古里10-7
・用途:観光施設
・竣工年:2025年

Text:Yoshinao Yamada