


師の想いを継承し、街に不可欠な施設を美しく表現
広島市中区南吉島の清掃工場。精緻な美術館建築で知られる建築家、谷口吉生の設計で2004年に建て替えられた。谷口の師である建築家の丹下健三は、広島の都市計画において、原爆ドーム、原爆死没者慰霊碑、広島平和記念資料館を南北一直線に並べる「平和の軸線」を据えた。谷口はその軸線として南伸する吉島通りの突き当たりに、本施設を計画。丹下が平和を願って通した軸線上にある建物中央にガラス張りの通路「エコリアム」を貫くことで、軸線は変わらず海へと通じる。谷口は幅5m、高さ4.5mのチューブ状空間「エコリアム」に重要な機能も与える。透明性の高い空間で、都市に不可欠な公共空間ながら一般に隠匿されがちな焼却プラントを広く開示。その先には瀬戸内海を望む展望デッキを設け、振り返れば広島の街並みを見る。平和の軸線、その先には市民の憩いの親水空間がある。
広島市環境局中工場
・設計:谷口吉生(谷口建築設計研究所)
・所在地:広島市中区南吉島1-5-1
・用途:清掃工場
・竣工年: 2004年
Text:Yoshinao Yamada