小田原文化財団 江之浦測候所

相模湾を望む丘陵地にある江之浦測候所。写真は海抜100m地点に立つ長さ100mのガラス張りのギャラリー。夏至の日の出の方向を向いている。「夏至光遥拝 100メートルギャラリー」 ©小田原文化財団
隧道と平行に、冬至の軸線に沿って設置された光学硝子の舞台。「冬至光遥拝隧道と光学硝子舞台」 ©小田原文化財団
冬至の日の出の軸線に合わせて設計された70mの隧道。相模湾から昇る陽光が貫く。「冬至光遥拝隧道」 ©小田原文化財団

雄大な時とともに杉本博司の思考を感じる、唯一無二の施設

現代美術作家、杉本博司のさまざまな表現、思考、蒐集物が息づく施設。杉本と建築家の榊田倫之が主宰する新素材研究所が設計を行い、建設に約10年の歳月をかけた。相模湾を望む丘にいくつもの建物が点在し、現在も拡張を続ける。杉本の代表作「海景」に見られるように、その視点は海と深いつながりをもつ。施設の軸となる「夏至光遥拝100メートルギャラリー」「冬至光遥拝隧道」は、夏至の日の出、冬至の日の出の方角に向かって立つ。ともに海への視点を誘う空間。広大な施設の至るところで相模湾を見下ろすことができる。杉本がさまざまな形で提示する地球や人類の歩んできた長大な時間とその営みとともに、雄大な海が来場者の心に語りかけてくる。

小田原文化財団 江之浦測候所
・設計:杉本博司(新素材研究所
・所在地:神奈川県小田原市江之浦362-1
・用途:美術館
・竣工年:2017年

Text:Yoshinao Yamada