多摩美術大学によるプロジェクト

「海のミュージアムをつくる」という実践研究

一般社団法人3710Lab(みなとラボ)は、多摩美術大学・統合デザイン学科と共同で、「海のミュージアムをつくること」をテーマとした共同研究プロジェクトを実施しました。

本プロジェクトには多摩美術大学・統合デザイン専攻の大学生、統合デザイン学科の学生たちが参加し、自らリサーチを行い、試作と実践を繰り返しながら、新しい展示のあり方を探究しました。

「海をつなぐミュージアム MOON」が目指しているのは、海を楽しみ、自分自身と海とのつながりを感じ、その関係を育んでいくことです。そのためには、展示を「見る」だけではなく、自ら身体を動かし、体験し、実践することも重要だと考えています。その際に「デザイン」というアプローチから何が可能なのかを探りました。

研究を担当したのは、長崎綱雄教授、菅俊一准教授、荒牧悠講師の3名です。その成果として、以下4つの作品ができました。


長崎プロジェクト《touch》

海と人との複雑かつ規則的な「呼応」を、独自開発したセンサーライトを通して視覚化、体験化。作品についてのメイキングは「inside “touch”」より。

菅プロジェクト《Blue Waves》

ブルーシートを複数人で持ち上げたり仰いだりすることで波の動きを生み出し、人が「波そのもの」になる体験型作品。

菅プロジェクト《Surface》

「手の中に海を持つ」という発想から生まれた作品。レーザープロジェクターで映像を手のひらに投影することで、スクリーン鑑賞とは異なる、身体的で個人的な海との出会いを生み出す。作品制作に関するプロセスは「菅俊一研究室が海を考えるーBlue Waves・Surfaceー」より。

荒牧プロジェクト『凧・線・海』

海を感じ取る方法として、水平線と風を受ける凧を着想。凧をあげることで、山からの風、海からの風の強さ、方向を感じることができる。


これらの展示は、作品として鑑賞するためだけのものではありません。学校や地域、海辺など、さまざまな場所で実践できるよう設計されています。体験した人が自ら実践者となり、その経験を別の場所へ持ち帰ることで、新たな海との関わりが広がっていくことを目指しています。

この共同研究で最も大きな成果は、展示が完成したことだけではありません。制作に携わった学生たち自身が、海を「遠い存在」ではなく、自分と関わりのある存在として捉えるようになったことです。展示をつくるプロセスそのものが、学生一人ひとりの海との関係を変え、学びを知識から実践へと転換する機会となりました。

MOONは、完成した展示を鑑賞するためだけのミュージアムではなく、人々が海との新しい関係をつくり、それぞれが実践を生み出していくための場所でもあります。本共同研究は、その可能性を探る最初の実践となりました。