土佐清水市立竜串貝類展示館 海のギャラリー

建物の美しさをより際立たせている折板(せっぱん)構造の屋根。貝を彷彿とさせる。強度があるため内部にも柱のないダイナミックな空間が生まれている。
折板構造の屋根がそのまま天井になった2階展示室。天窓からの自然光が美しく陰影を作り出している。© FUMITO SUZUKI
外光を遮った1階の展示室。暗い海の中から、水面を見上げて貝を見るかのような幻想的な空間になっている。© FUMITO SUZUKI

貝の美しさを引き出す、住宅の名手による美しいギャラリー

高知県土佐清水市の洋画家、黒原和男が収集した貝殻や珊瑚数万点を展示する施設。住宅設計の名手で、日本の女性建築家におけるパイオニアであった建築家の林 雅子が設計を手がけた。貝殻の形態や構造が示す造形的なおもしろさに惹かれた林は、貝の美しさを最大限引き出す空間構成を目指し、断面から設計を始めたという。 中でも薄暗い海の中で、上から射し込む光の中で貝を見る美しさを思い描いた、1階から2階の吹き抜けを見上げた時の様子は圧巻。屋根を東西に貫くトップライト、ダイナミックな折板屋根、跳ね出す階段、砂波紋のような御影石、彫刻家の多田美波が手がけた波がきらめくような照明など、貝の美しさを引き立てる空間造形は唯一無二の魅力を放つ。

土佐清水市立竜串貝類展示館 海のギャラリー
・設計:林 雅子
・住所:高知県土佐清水市竜串23-8
・用途:ギャラリー
・竣工年:1966年

Text:Yoshinao Yamada