瀬戸内海歴史民俗資料館

傾斜地に沿うように、建物は階段状に配置。海賊の城をイメージし一辺が最大24mを測る、8mを基調とした正方形平面の展示室が中庭を囲むように建てられている。写真提供:瀬戸内海歴史民俗資料館
彫刻家イサム・ノグチの作品を手がけた石匠・和泉正敏の指揮のもと、石工らが積んだ安山岩の石積み。瀬戸内海の景観に溶け込む圧巻の佇まい。写真提供:瀬戸内海歴史民俗資料館
かつて瀬戸内海を行き交っていたさまざまな種類の木造船が展示されるなど、瀬戸内海に暮らす人々の歴史や生活文化を伝える展示内容。写真提供:瀬戸内海歴史民俗資料館

瀬戸内海を望む山に佇む、要塞のような資料館

香川県高松市西部の瀬戸内海に張り出した五色台にある歴史民俗資料館。調査研究の諸機能を備える総合的な地方歴史民俗資料館の最初期の例でもある。高台から海を一望できる施設の設計は、香川の名建築の数々を実現に導いた土木部建築課長の山本忠司によるもの。地形と溶け合う城壁のような建築では、中庭を囲むかたちで配置された複数の展示室を回遊しながら展示を楽しむ。展示室をはじめとする館内の各室は地形にあわせて上下左右さまざまにずらして配置。各所に大きな開口を設け、時に外部空間へと足を運ばせながら、動的で開放的な展示空間を実現している。外観に当地で採れた石材などを採用し、周囲の景観との調和を図る。

瀬戸内海歴史民俗資料館
・設計:山本忠司
・所在地:香川県高松市亀水町1412-2
・用途:博物館
・竣工年:1973年

Text:Yoshinao Yamada