


能登半島に浮かぶ、軽やかな雲のような市民ホール
能登半島の最北端に位置する石川県珠洲市の多目的ホール。飯田港に隣接する埋立地に「軽やかに漂う雲々」をモチーフとした建物を実現したのは建築家、長谷川逸子。以前より珠洲市を訪れていたという長谷川は、市民、行政、専門家との一年におよぶワークショップを繰り返す中で竹笛に興味を持ち、建築に音のミュージアムを計画することとなった。100本の竹笛を集めた展示室や、海の音や風の音、水琴窟の音などをテーマみした広場やホールを中心に9つの建物を配置。空を漂う雲の群れのようなコンクリートシェルの屋根がホールを取り巻き、その群島のような建築でさまざまな活動を営む。雲のイメージは子どもたちとのワークショップから生まれたものだという。能登半島を特徴づける黒い瓦屋根の街並み、珠洲の海、そしてランドスケープの緑に、白い建築は軽やかに存在する。2024年、能登半島地震においても建物は健全さを保ち、発災後は被災した高校の卒業式を行ったり、車の無償貸し出しの拠点施設となるなど、復旧・復興の重要な役割を果たした。
ラポルト珠洲(珠洲市多目的ホール)
・設計:長谷川逸子(長谷川逸子・建築計画工房)
・所在地:石川県珠洲市飯田町1-1-8
・用途:公共施設
・竣工年:2006年
Text:Yoshinao Yamada