


港町のコンテクストを取り込んだ、ポストモダン建築
北海道釧路市の釧路港東港区にある商業施設、公共施設などを内包する複合施設。太平洋沿岸部に面した釧路港は日本の重要な輸入拠点である。設計を担ったのは、日本のポストモダン建築を牽引した毛綱毅曠だ。釧路で生まれ、周辺に多くの建築を遺した毛綱は、ここで港町の都市構造を建築の手がかりとした。外観は町並み、内部は3つの丘と坂道を抽象化することで施設を小さな街に見立てている。吹き抜けによる上下階の構成、視線の抜け、回遊性で、坂道を丘へ向かう感覚を建築に取り込んだ。1986年に制定された民活法の適応第一号であり、日本のウォーターフロント開発の先駆けともなった。東日本大震災での被災後、復旧工事とともに災害対策工事を行ったことで災害時の避難施設へと更新された点にも注目したい。
釧路フィッシャーマンズワーフMOO
・設計:毛綱毅曠、北海道日建設計
・所在地:北海道釧路市錦町2-4
・用途:複合商業・観光施設
・竣工年:1989年
Text:Yoshinao Yamada