兵庫県立美術館

海とつながり人々が集う空間として設計された美術館。海側には大階段が設けられ、座って海風を感じたり、夕日を眺めたり、都市の広場として機能する。©Masaki Tada
建物をよりダイナミックに印象付ける、海側に迫り出した巨大な庇。庇が作り出す陰影も美しい。©Nobutada Omote
幾何学形状の企画展示室のエレベーターホール。建物内部でもさまざまな建築的仕掛けが楽しめる。©Nobutada Omote

文化復興のシンボルとして建設された、海辺のランドマーク

兵庫県神戸市の東部新都心(HAT神戸)にある美術館。この新都心は阪神・淡路大震災後にマスタープランが見直され、甚大な被害を受けた住宅などの都市機能の受け皿、防災拠点などを含むこととなった。そのなかで文化交流機能の中核的な施設かつ「文化の復興」のシンボルとして、建築家の安藤忠雄が設計を手がけたのが「兵庫県立美術館」である。石垣の基壇の上に3つの直方体があり、そこにはコンクリートの大きな庇がかかる。明快な構成の外観に対して内部空間は非常に複雑で、光の豊かな明暗がドラマティックな建築体験につながる。なかでも地下1階から地上2階を屋外で繋ぐ円形テラス、展示空間であるコンクリートのボックスをさらにガラスのボックスが包み込む二重被膜構造は出色。海に開かれた「海のデッキ」からは穏やかな大阪湾、神戸港の景色が広がる。

兵庫県立美術館
・設計:安藤忠雄
・所在地:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
・用途:美術館
・竣工年:2001年

Text:Yoshinao Yamada